君の続き

何気ないはずの景色が、急に胸を締め付ける。
故郷というのは不思議な場所で、
主観でしか見れていなかった自分自身を、ふと客観視してしまう瞬間がある。

 
想い出は、過去とは別のもの。
記録に残せば、正確に事実を残せるけれど、
記憶の中にある過去は今も変化していて、時々、僕らの前に現れる。

今、もしくは未来のいつかと混ざり合おうとして、
想い出自体に意識が存在するかのように、風や匂いと一緒になって変化を繰り返す。
 

無意識のうちに記憶したことは、ボタンを押せばタイムシフトで再生される。
そのボタンを押すのもまた、無意識だ。
 

今日、君は何を見て、何を感じたんだろう。
 

未来の僕が、その景色を君というディスクを通じて見られるように、
今のうちに視聴予約をしておきたい。

目の前にいる君の状態は、君の過去の意識が作り出しているのかもしれない。
その違和感のある事実に、僕は窒息するほどの愛おしさを感じるんだ。

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