溢れる

感情を表現する、と言うが、大きな誤解だ。

感情は常に膨張と収縮を繰り返しているから、

ある一点を切り取り、表層的なものにすり替えて提示することは不可能だろう。

コップに注がれる水のように、

極限まで、溢れ出るまで、膨らんだ感情が、

初めて頬を伝って表に現れる。

その、溢れる一瞬が見たくて、

透明な表面に立つ穏やかな波が、光を屈折させる様子に、

目を離せずに惹かれている。

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