約束の嘘

「また会いましょう」

またいつかの夜に偶然出会うような気がして、
僕はサヨナラを言わずに、夜の片隅に佇むフロアを後にした。

約束をすれば、ほんの一瞬、安心した気分になれる。
待ち合わせが会えない飢餓感を埋めてくれることもあるし、
一緒に頑張ろうみたいな支え合いも、生きていくには必要な要素だ。

 
ただ、その安心感は痛み止めでしかなくて、
約束をした瞬間に裏切られるかもしれないリスクが生まれるし、
対象を信用をする、という厄介な状況に身を置くことになる。

約束とは安心と真逆で、
そこに寄りかかれるものは何もないよ。

ほとんど嘘みたいなもの。

 
僕たちはどれくらいの約束を破って生きてきたのだろう。
そんなことなら最初から約束なんてしなければいいのに。

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