僕の隣を一時的な居場所にしてぼんやりと歩く君は、僕とは違う方角に視線を向けながら、あてのない風景をやり過ごしていく。
僕も同じように景色を無機質化して意味もなくただ眺めているから、時折消えてしまいそうになる時間をためらって、ようやく君に声をかける。
反動を利用してベッドから起き上がるように、そこからまた会話が生まれるけれど、君との話は言葉を選ばなくても繋がっていく。無駄な二酸化炭素を吐き出す必要が無くて健康的だ。
特に希望の目的地は持ち合わせずに、どこにも行かなくていいやと互いに思いふけるのは、君がどこかに行ってしまうことを少し恐れているからだろう。
同じように、していてよ。
ただ、この時間が壊れないように。