「運」の分解

運命はいつも後付けだ。
前から決まっていたような振りをするけれど、
人生は選択の連続だから、僕らは願っていた偶然のことを運命と呼ぶ。

後悔先に立たずという言葉と同じように、きっと運命も先には分からない。
どちらも同じなのは、たった一つを選び続けた結果であるということだ。

木の枝が気まぐれに指先を伸ばすように、
運を味方につけることが、選択の質を上げていく。

運とは、偶然出会うこと。

出会う力を持つこと。
出会いを大切に思う力を持つこと。
そして、別れを悲劇ではなく、確かめ、認める力を持つこと。

当たり前のことを、偶然に巻き戻して、
与えられたものなのだと日々向き合うことが機会をつくる。

君との出会いは、きっと選択が生んだ偶然だ。
だけど僕は、それを運命と呼ぶ。

そうしなければ、君はまたどこかに消えてしまうし、
僕は火傷のような後悔を負ってしまうだろう。

この命が、生きているうちに灰にならないように、
慎重に酸素を吸うんだ。

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