心を探す迷い道で、人は躰に溺れる。
躰に実体を求めるほどに、心は幻像となり霞んでいく。
愛や恋が本物であることを証明するには、偽物の存在が必要だ。
だから平気な顔で、人は浮気愛に歪んだ喜びを見出す。
嘘をつくことは、真実を口にするよりも簡単だ。
疑われることは、信用されることに比べれば、無責任に逃避できる。
きっと、心とは答えのようなもので、
その問いの出題者は永遠に自分なのだろう。
答案用紙の空欄をただ埋めるように、その場しのぎの答えを書いて、
少しの間だけ見つかったふりをする。
心に飢えた自由回答は今日も、正確なのは自分の名前だけ。
必死に考えた答案も冷静に見れば、独りよがりで自分勝手な、空論。
一体、心は何処にあるんだ。