僕よりも早く待ち合わせ場所に着いた君は、
錆びついたストラトキャスターを愛おしそうに膝に抱いた。
ルート音を探す人差し指が、
音楽を聞き飽きた僕に新しい響きを教えてくれる。
基準となる単音に、君だけの音が重ねられていく。
僕と君の鳴らすセブンスコードは譜面どおりの押さえ方をしても全くの別物で、
同じルートを辿っても、どこか違って聞こえるんだ。
人の生き方がそれぞれ違うように、
ギターの奏で方も、君の手癖で違った音色がうまれていく。
自由に鳴らせばいいんだよ。
マーシャルから聞こえる音は、どうせ歪んでいるんだから。