この有り様は、僕の目から見れば明らかな失敗だ。
正直に言うなら、君は僕の想定通りに失敗をした。
ミスを犯したわけではない。
あらゆる些細なことが、
君が失敗をすることを示していたし、
最も重大なことは、君が失敗の味を知らないことだ。
大した成功体験も持ち合わせてないのに、
試着室で着飾ることには熱心だ。
手のひら程度の小さな世界のアパレルショップで、
薄いハンガーに掛けられたカットソーに仕立てられて、
24時間で消える日常を消費していく。
手のひらの世界を知らない大人たちに、
わざわざ刃向かうことも知らず、
同級生を結ぶ線を赤道のように結んで、
こちらとあちらを区別する。
人生は失敗から学ぶことの方が多い。
成功よりも、味が不味いのだから、
そんなもの、二度と口にしたくないと思うものだよ。
それでも君は失敗をしない。
恐れているわけでも、逃げているわけでもなく、
それを知らないのだから厄介だ。
平成というビストロが、
失敗という料理を出したがらなかったのだろうか。
君はコンビニで品出しされるペットボトルのように、
成功が売り出される日がいつか来ると確信しているのだろうか。