自らの短所を本質的に理解している人は、
その点を埋めてくれる長所を持つ他人に惚れることができる。
惚れるほどに、短所と自覚する椅子を、
長所の人に明け渡すことができる。
一方で、自分の長所しか見つめられない人は、
同じ長所を持つ人だけを好み、そして愛さない。
馴れ合い、曖昧に競い、自慢に溺れ、
やがて離れていく。
そもそも、欠点と表現されるように、
短所とは単なる点である。
誰かが、もしくは常識というコンセンサスが引いた基準線を下回っているかどうかという偶像のようなものであり、
ラインが変われば長所に転じる朧げな単位。
短所を責めるなよ。
人の欠点こそ愛すべき対象だ。
真っ白なシャツについたシミが、
それが私の所有物であるという愛着を抱かせてくれるように。