ズルイ陽だまり

「です…よね…?」

長い空白を埋めるには、
あまりに言葉が足りなさすぎた。

そして、
言葉が見当たらないことに、
どこか安心した僕自身、きっと君もそうだった。

 

君が太陽になった夏の日、
僕は月になることを選んだ。

満ちたり、欠けたりを繰り返して、
周期を避けるように、
行き着く場所を探していたんだ。

 

君は、当たり前のように東の空から昇り、
この街を照らしていく。
まるで運命かのように、その軌道を確保しながら。

雨の日には、かえって心が穏やかだっただろう。
強い日差しは君に似合わないもの。

 

やがて時が満ちて、
この星と、君という太陽の間で、
月が隠される時が訪れる。

僕は姿を隠しながら、君を見つけることができるんだ。

指の先から涙がこぼれ落ちるように、
リズムに合わせた動きが、渇きを潤していく。

華奢なラインは、僕の瞼には一輪の薔薇だった。

大人になった君は、
どこか物憂げだけれど、
あの日と変わらない瞬間もあったね。

 

もう会わない人
3年経っても覚えてるよ

 

君の指先にかけられた魔法は、
またあの空を差して、
アルバムを閉じた日々を巻き戻す。

僕はまた君の衛星になれるかな。

記憶のどこかで、たまに合う視線がもどかしくて、
きっとまた、僕は君を見つけてしまったんだ。

 

ズルイよ。もう手遅れだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です