余計な光が君の輪郭を浮かび上がらせることに吐き気がして、
僕は無心でブラインドの隙間を閉じる。
まだ昼間だと言うのに、外の光を遮断してつくった暗室。
この広い暗がりの中で、
君を正確に写し出せるのは僕以外には在りえない、という事実が、
シャッターを押す指を確信に変える。
「暗いところでも明るい写真が撮れるよ。」
そんな表層的なことは誤解で、
ストロボの閃光が僕に与えてくれるのは、
高速に切れるカメラのシャッタースピード。
僅かな瞬間をフィルムに焼き付けて、
一瞬の君を手に入れた気分になるんだ。
閃光は、目を逸らせば一瞬で終わってしまう。
目の前が白くなる眩しさは、まるで幻のように感じるけど、
その一瞬は二度と手に入らないから、この目に焼き付けておきたいんだ。