壊したい衝動の方が、 創造の欲求以上に勝ることがある。 信仰とは、人それぞれ異なるからこそ信仰なのであって、 僕らはひとつの事象を、誰一人として同様に見ることはできない。 規律をつくることで、 人はみんな同じ、平等なんだ…
平和とは、争いごとがない状態のことを言うけれど、 それはつまり、最適な緊張状態が保たれているということだ。 争いごとは常に、不均衡が原因で生じる。 バランスの概念が存在しない空間は無く、 僕たちは常に集団および個人の利益…
百円ショップで購入した二つセットの小さな水鉄砲を、 湯船に浸して、中の空気を追い出そうとする。 水を鉄砲の中に誘い込むための穴が、 ちょどいいバランスよりも微妙に加減が悪くて、なかなか鉄砲の中に水が溜まらない。 まるで巻…
狂うことと悟ることというのは、 とても近いところにあるんだろうなと思う。 狂うことを肯定した時に、 そこから数歩、距離を置いてみた時に、 客観視された狂いは悟りとなって頭の骨の内に共鳴するような心地よい音階を結ぶ。 この…
この世界は光と影で構成されていて、 影を見れば光を見失い、 光を見れば、影の輪郭は曖昧になる。 その両方を上手く監視することは不可能なので、 僕らが存在している世界を、全て見渡すことは難しい。 だから僕たちは、見えないも…
運命はいつも後付けだ。 前から決まっていたような振りをするけれど、 人生は選択の連続だから、僕らは願っていた偶然のことを運命と呼ぶ。 後悔先に立たずという言葉と同じように、きっと運命も先には分からない。 どちらも同じなの…
サヨナラを言いかけた君が、無意識にポケットの中の鍵を探すように、数秒間だけ思いを巡らせ別の言葉を選び直す。 僕らの日常の中で、別れ際に直接的な台詞を言うことは稀だ。 少しずつ君の背中が遠ざかっていくと、二人の間に距離と呼…
どんなに外側が静かな夜でも、 脈拍のリズムには生命が宿って、 日々の営みを雑音に変えていく。 興味のある風景だけを見ていたいけれど、 生息地を住民票に明記された僕らには不可能で、 一人一人が絶滅危惧種でありながら、 その…
君が残す言葉の意味を、何も考えないようにしておこうと、停止線のようなものを引くことがある。 「止まれ」 考えるなという指令を、僕の脳が僕の脳自身に出していて、それは可笑しな話ではあるけれど、 君のことを考える場所と、僕自…
何気ないはずの景色が、急に胸を締め付ける。 故郷というのは不思議な場所で、 主観でしか見れていなかった自分自身を、ふと客観視してしまう瞬間がある。 想い出は、過去とは別のもの。 記録に残せば、正確に事実を残…